Grokの情報漏洩はハッキングされてなくても起こる

Grokの情報漏洩が心配で使い続けていいか分からない、入力した会話は学習に使われているのか、設定でオフにできるのか、過去に共有したリンクは今どうなっているのか——こうした疑問を抱える方は多いのではないでしょうか。
本記事では、確認できている漏洩事例、2026年に改定された規約の記載、学習をオフにする設定手順、それでも止まらない範囲を整理しました。
Grokの情報漏洩は実際に起きた?3つの事例

Grokをめぐる情報漏洩は、性質の異なる3系統に分かれます。
2025年8月:共有リンク37万件が検索結果に出た
2025年8月20日、Forbesのイアン・マーティン記者がGrokの共有リンクの問題を報じました。共有ボタンで作られる公開URLに検索避けの設定もアクセス制御もなく、37万件以上の会話がGoogle・Bing・DuckDuckGoの検索結果に並んでいた、という内容です。
原因は外部からの侵入ではなく、共有機能そのものの設計にありました。報道後にnoindex(検索エンジンに登録させない指定)の対応が入っています。
2026年7月:Grok Buildが認証情報ごと外部送信
2026年7月13日、開発者向けのコマンドラインツール Grok Build v0.2.93 に、リポジトリ全体をクラウドへ送信する動作が見つかりました。
研究者cereblabの指摘によると、送られていたのは参照範囲外のファイルやGit履歴まで含む全体で、.env に書かれた認証情報も伏せ字なしのままでした(The Register、2026年7月14日)。
その後、サーバー側の設定変更(disable_codebase_upload: true)で送信が停止され、アップロード済みデータの削除とApache 2.0でのコード公開が表明されました。
2026年8月:ゼロクリックで会話が抜ける脆弱性
2026年8月20日、Adversa AIの研究者Rony Utevsky氏が Cryptographic Context Injection という攻撃手法を公表しました。AES暗号文に隠した指示を、Grokが自身のサンドボックス内で復号して実行してしまう仕組みです。
grok.comのチャットで細工されたページを開き「要約して」と頼むだけで起きる、クリック操作の要らない実証でした。2026年6月3日にxAIとHackerOneへ報告済みで、8月19日時点でも再現できたと公表されています。
サーバー侵入によるデータ流出は確認されていない
2026年9月3日時点で、Grokのサーバーが不正アクセスを受けてユーザーのデータベースが盗まれた、という事故は確認されていません。起きているのは次の3種類です。
| 系統 | 実際に起きたこと | 引き金になったもの |
|---|---|---|
| ユーザーの操作が起点 | 共有リンク37万件の公開 | 共有ボタン |
| 製品の実装不備 | Grok Buildのリポジトリ送信 | 開発ツールの仕様 |
| 外部からの攻撃 | ゼロクリックでの会話送信 | 細工されたWebページ |
共有リンクが検索結果に載る問題は2026年7月にClaudeでも起きており、Grok固有の問題ではありません。2025年末から広がった、他人の写真を@Grokに加工させるディープフェイクの騒動もありましたが、こちらは自分の入力が外に出る話とは別です。
また、画像生成をめぐる各国の対応や有料会員限定化の流れについては、Grokの規制強化の経緯で解説していますのでぜひお読みください。
Grokの会話は学習に使われる?規約の記載

学習に使われるかどうかは、2026年に改定された規約とFAQに書かれています。
運営はSpaceXAI LLCに変わり規約も改定された
xAIはSpaceXによる全株式交換での買収を経て、2026年2月2日に手続きを完了しました。2026年7月には SpaceXAI LLC(ネバダ州)へブランドが統合され、x.ai/legal の各文書も表記が更新されています。
消費者向けFAQには「SpaceXAI is a separate company from X Corp.」とあり、GrokとXは別会社の扱いです。X上でGrokを使う場合は、X側の規約とポリシーも適用されます。
会話・画像・Xアカウント情報が学習の対象になる
入力した内容とGrokの応答をモデルの学習に使う場合があることは、消費者向けFAQのQ17に書かれています(2026年9月3日に確認した記載です)。
位置情報は、IPアドレスから分かる大まかな地域が自動で取得されます。詳細な位置情報については「We obtain your consent prior to collecting precise location information.」と、同意を取ってから取得すると明記されています。
担当者が会話を確認する場合があると明記されている
学習とは別に、人が会話を読む可能性についてもFAQのQ14に記載があります。
対象は権限を与えられた一部の担当者で、目的はモデルの改善、セキュリティ事故の調査、不正利用の確認とされています。この確認は、後述のとおり設定では止められません。
Grokの学習をオフにする設定手順3か所

設定はgrok.comとX側で別々です。加えて、最初から残さない選択肢もあります。
grok.com(Web版)のData Controls
grok.comにログインし、Settings内のData Controlsから 「Improve the Model」 をオフにします。
- STEP 1
Settingsを開く
画面のアカウントメニューからSettingsに入ります。
- STEP 2
Data Controlsを選ぶ
表示によってはDataという項目名になっています。
- STEP 3
「Improve the Model」をオフにする
トグルを切り替えると、以降の会話が学習の対象から外れます。
反映されるのは、これ以降に入力する分です。設定より前に送った会話までは遡りません。
X側の「Grokとサードパーティコラボレーター」
X上で@grokに話しかけている方は、X側の設定も別に必要です。設定とプライバシー → プライバシーと安全 →「Grokとサードパーティコラボレーター」と進み、「公開データに加えて、GrokおよびxAIでのやり取り、インプット、結果をトレーニングと調整に利用することを許可します」のチェックを外します。
項目が見つからない場合は、Xアカウントを非公開(鍵アカウント)にすることで、公開データ経由の学習対象からは外せます。プロフィールや投稿をGrokの応答に反映させる「Personalize Grok using X」も、同じ画面からオフにできます。
プライベートチャットで最初から残さない
入力の段階で学習対象から外すなら、プライベートチャットを使います。FAQのQ10には「To activate Private Chat, look at the top right corner of your screen for the ghost shaped icon.」とあり、画面右上のゴーストの形をしたアイコンから起動します。
Grokの共有リンクと履歴を削除する手順

設定を変えても、過去に作った共有リンクと会話履歴は残ったままです。
grok.com/share-linksで共有を取り消す
共有ボタンを押した覚えがある方が最初に手を付けるのは、過去の共有リンクの確認です。手順はFAQのQ9に明記されています。
Settings → Data controls → See Share Links → Manage からも辿れます。すべてまとめて取り消すことも、リンクを個別に選んで取り消すこともできます。
検索結果に出なくなってもURLは生きている
37万件の報道を受けてnoindex対応が入り、共有リンクは検索結果に出にくくなりました。ただしURL自体は、所有者が取り消すまで有効なままです。
会話・アカウントの削除は30日以内
削除したあとの扱いは、2026年8月24日発効のプライバシーポリシーに書かれています。
法令・コンプライアンス・安全上の理由がある場合は、30日を超えて保持されるという但し書きが付いています。
学習オフでも止まらないGrokのデータ利用
学習をオフにしても、データの利用がすべて止まるわけではありません。公式文書を読むと、設定では止められない範囲が5つあります。
| 設定では止まらない範囲 | 何が起きるか |
|---|---|
| 設定前に入力した分 | オプトアウトは遡らず、過去の会話はそのまま対象 |
| 非識別化・仮名化されたデータ | 30日で削除される対象から外れる(FAQ Q22) |
| X上のGrok機能の通常利用 | Xヘルプセンターによると、オプトアウトしても、展開済みのモデルが普段の利用から学習するのは防げない |
| 利用規約 第4条のライセンス | 撤回不能・永久・世界規模のライセンスをSpaceXAIに付与 |
| 担当者による会話の確認 | 一部の担当者が会話を確認する場合がある(FAQ Q14) |
Grokの有料プランと地域で安全性は変わる?

課金や居住地でデータの扱いが変わるのかは、公開されている文書で確認できます。
個人向けプランはどれも扱いが同じ
プライバシーポリシー・消費者向け利用規約・消費者向けFAQの3文書には、無料と有料でデータの扱いを分ける記述が見当たりません(2026年9月3日確認)。上位プランに変更しても、学習やデータ保持について書かれている条件は同じです。
また、各プランで使える機能や料金の差については、Grokの有料プランの違いで解説していますのでぜひお読みください。
学習しないと明記されているのは法人向けAPIだけ
扱いに差が出るのは、開発者・法人向けのAPIです。2026年7月27日掲載のAPIドキュメントには、明示的な許可なくAPIの入出力を学習に使わないと書かれています。
個人向けのGrokに、このZDRに相当する設定はありません。同じGrokでも、契約している窓口によって書かれている条件が違います。
EU・UK向けの追加保護は日本にはない
x.ai/legalには、EU・UK・スイス向けの Europe Privacy Policy Addendum(2026年8月24日発効)が置かれています。一方で、日本向けの地域別文書はありません。
日本が名指しされているわけではありませんが、除外対象にEU/UKが入っていることは明記されています。未ログインのまま使うより、ログインして学習の設定を確認しておく方が確実です。
まとめ|Grokの情報漏洩は3系統に分かれる
Grokで実際に確認されている情報漏洩は、性質の違う3系統です。サーバーへの侵入によるユーザーデータの流出は、2026年9月3日時点で確認されていません。
まず grok.com/share-links を開いて過去の共有リンクを確認し、そのうえでData Controlsとプライベートチャットの使い分けを決めると進めやすいです。医療・金融・業務上の秘密にあたる内容は、設定に関係なく入力しないことをおすすめします。
本記事は2026年9月時点の情報です。規約とFAQは改定が続いているため、最新の記載はx.ai/legalで確認してください。
また、Grokの会話や画像が第三者に見えてしまう経路については、会話や画像が他人にバレる経路と対策もあわせてご覧ください。
AppTime株式会社 代表取締役:システム開発・DX支援|2018年〜現在
HOJOJO株式会社 取締役CTO:技術戦略・プロダクト開発|2024年〜2025年
関西学院大学大学院(MBA課程)にて、経営管理の高度な知見を統合。
〜主な経歴〜
2017年に個人事業主として独立。エンジニアとして数多くのシステム開発を
手掛けた後、2018年にAppTime株式会社を設立し、代表取締役に就任。
現在は自社の経営のみならず、2024年〜2025年にはHOJOJO株式会社の取締役CTO(最高技術責任者)も兼任。技術の「便利さ」だけでなく、LLM・機械学習をはじめとする先端技術を活かし、企業のコストカットや「利益創出」に直結させるという、実益重視のコンサルティングを展開している。
単なるIT導入に留まらない、経営層・役員の意思決定に資する「経営×IT」の架け橋として、次世代のDXリテラシー向上を支援している。
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