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Grokの情報漏洩はハッキングされてなくても起こる

投稿日 最終更新 読了約14分 閲覧数792

Grokの情報漏洩が心配で使い続けていいか分からない、入力した会話は学習に使われているのか、設定でオフにできるのか、過去に共有したリンクは今どうなっているのか——こうした疑問を抱える方は多いのではないでしょうか。

本記事では、確認できている漏洩事例、2026年に改定された規約の記載、学習をオフにする設定手順、それでも止まらない範囲を整理しました。

Grokの情報漏洩は実際に起きた?3つの事例

Grokをめぐる情報漏洩は、性質の異なる3系統に分かれます。

2025年8月:共有リンク37万件が検索結果に出た

2025年8月20日、Forbesのイアン・マーティン記者がGrokの共有リンクの問題を報じました。共有ボタンで作られる公開URLに検索避けの設定もアクセス制御もなく、37万件以上の会話がGoogle・Bing・DuckDuckGoの検索結果に並んでいた、という内容です。

原因は外部からの侵入ではなく、共有機能そのものの設計にありました。報道後にnoindex(検索エンジンに登録させない指定)の対応が入っています。

2026年7月:Grok Buildが認証情報ごと外部送信

2026年7月13日、開発者向けのコマンドラインツール Grok Build v0.2.93 に、リポジトリ全体をクラウドへ送信する動作が見つかりました。

研究者cereblabの指摘によると、送られていたのは参照範囲外のファイルやGit履歴まで含む全体で、.env に書かれた認証情報も伏せ字なしのままでした(The Register、2026年7月14日)。

その後、サーバー側の設定変更(disable_codebase_upload: true)で送信が停止され、アップロード済みデータの削除とApache 2.0でのコード公開が表明されました。

2026年8月:ゼロクリックで会話が抜ける脆弱性

2026年8月20日、Adversa AIの研究者Rony Utevsky氏が Cryptographic Context Injection という攻撃手法を公表しました。AES暗号文に隠した指示を、Grokが自身のサンドボックス内で復号して実行してしまう仕組みです。

grok.comのチャットで細工されたページを開き「要約して」と頼むだけで起きる、クリック操作の要らない実証でした。2026年6月3日にxAIとHackerOneへ報告済みで、8月19日時点でも再現できたと公表されています。

サーバー侵入によるデータ流出は確認されていない

2026年9月3日時点で、Grokのサーバーが不正アクセスを受けてユーザーのデータベースが盗まれた、という事故は確認されていません。起きているのは次の3種類です。

系統実際に起きたこと引き金になったもの
ユーザーの操作が起点共有リンク37万件の公開共有ボタン
製品の実装不備Grok Buildのリポジトリ送信開発ツールの仕様
外部からの攻撃ゼロクリックでの会話送信細工されたWebページ

共有リンクが検索結果に載る問題は2026年7月にClaudeでも起きており、Grok固有の問題ではありません。2025年末から広がった、他人の写真を@Grokに加工させるディープフェイクの騒動もありましたが、こちらは自分の入力が外に出る話とは別です。

また、画像生成をめぐる各国の対応や有料会員限定化の流れについては、Grokの規制強化の経緯で解説していますのでぜひお読みください。

Grokの会話は学習に使われる?規約の記載

学習に使われるかどうかは、2026年に改定された規約とFAQに書かれています。

運営はSpaceXAI LLCに変わり規約も改定された

xAIはSpaceXによる全株式交換での買収を経て、2026年2月2日に手続きを完了しました。2026年7月には SpaceXAI LLC(ネバダ州)へブランドが統合され、x.ai/legal の各文書も表記が更新されています。

消費者向けFAQには「SpaceXAI is a separate company from X Corp.」とあり、GrokとXは別会社の扱いです。X上でGrokを使う場合は、X側の規約とポリシーも適用されます。

会話・画像・Xアカウント情報が学習の対象になる

入力した内容とGrokの応答をモデルの学習に使う場合があることは、消費者向けFAQのQ17に書かれています(2026年9月3日に確認した記載です)。

位置情報は、IPアドレスから分かる大まかな地域が自動で取得されます。詳細な位置情報については「We obtain your consent prior to collecting precise location information.」と、同意を取ってから取得すると明記されています。

担当者が会話を確認する場合があると明記されている

学習とは別に、人が会話を読む可能性についてもFAQのQ14に記載があります。

対象は権限を与えられた一部の担当者で、目的はモデルの改善、セキュリティ事故の調査、不正利用の確認とされています。この確認は、後述のとおり設定では止められません。

Grokの学習をオフにする設定手順3か所

設定はgrok.comとX側で別々です。加えて、最初から残さない選択肢もあります。

grok.com(Web版)のData Controls

grok.comにログインし、Settings内のData Controlsから 「Improve the Model」 をオフにします。

  1. STEP 1

    Settingsを開く

    画面のアカウントメニューからSettingsに入ります。

  2. STEP 2

    Data Controlsを選ぶ

    表示によってはDataという項目名になっています。

  3. STEP 3

    「Improve the Model」をオフにする

    トグルを切り替えると、以降の会話が学習の対象から外れます。

反映されるのは、これ以降に入力する分です。設定より前に送った会話までは遡りません。

X側の「Grokとサードパーティコラボレーター」

X上で@grokに話しかけている方は、X側の設定も別に必要です。設定とプライバシー → プライバシーと安全 →「Grokとサードパーティコラボレーター」と進み、「公開データに加えて、GrokおよびxAIでのやり取り、インプット、結果をトレーニングと調整に利用することを許可します」のチェックを外します。

項目が見つからない場合は、Xアカウントを非公開(鍵アカウント)にすることで、公開データ経由の学習対象からは外せます。プロフィールや投稿をGrokの応答に反映させる「Personalize Grok using X」も、同じ画面からオフにできます。

プライベートチャットで最初から残さない

入力の段階で学習対象から外すなら、プライベートチャットを使います。FAQのQ10には「To activate Private Chat, look at the top right corner of your screen for the ghost shaped icon.」とあり、画面右上のゴーストの形をしたアイコンから起動します。

Grokの共有リンクと履歴を削除する手順

設定を変えても、過去に作った共有リンクと会話履歴は残ったままです。

grok.com/share-linksで共有を取り消す

共有ボタンを押した覚えがある方が最初に手を付けるのは、過去の共有リンクの確認です。手順はFAQのQ9に明記されています。

Settings → Data controls → See Share Links → Manage からも辿れます。すべてまとめて取り消すことも、リンクを個別に選んで取り消すこともできます。

検索結果に出なくなってもURLは生きている

37万件の報道を受けてnoindex対応が入り、共有リンクは検索結果に出にくくなりました。ただしURL自体は、所有者が取り消すまで有効なままです。

会話・アカウントの削除は30日以内

削除したあとの扱いは、2026年8月24日発効のプライバシーポリシーに書かれています。

法令・コンプライアンス・安全上の理由がある場合は、30日を超えて保持されるという但し書きが付いています。

学習オフでも止まらないGrokのデータ利用

学習をオフにしても、データの利用がすべて止まるわけではありません。公式文書を読むと、設定では止められない範囲が5つあります。

設定では止まらない範囲何が起きるか
設定前に入力した分オプトアウトは遡らず、過去の会話はそのまま対象
非識別化・仮名化されたデータ30日で削除される対象から外れる(FAQ Q22)
X上のGrok機能の通常利用Xヘルプセンターによると、オプトアウトしても、展開済みのモデルが普段の利用から学習するのは防げない
利用規約 第4条のライセンス撤回不能・永久・世界規模のライセンスをSpaceXAIに付与
担当者による会話の確認一部の担当者が会話を確認する場合がある(FAQ Q14)
利用規約には、投稿内容の所有権がユーザーに残ると定めたうえで、同時に 撤回不能・永久 のライセンスをSpaceXAIに与えると書かれています。使うのをやめるかどうかではなく、入力の時点で何を書かないかを決める問題です。

Grokの有料プランと地域で安全性は変わる?

課金や居住地でデータの扱いが変わるのかは、公開されている文書で確認できます。

個人向けプランはどれも扱いが同じ

プライバシーポリシー・消費者向け利用規約・消費者向けFAQの3文書には、無料と有料でデータの扱いを分ける記述が見当たりません(2026年9月3日確認)。上位プランに変更しても、学習やデータ保持について書かれている条件は同じです。

また、各プランで使える機能や料金の差については、Grokの有料プランの違いで解説していますのでぜひお読みください。

学習しないと明記されているのは法人向けAPIだけ

扱いに差が出るのは、開発者・法人向けのAPIです。2026年7月27日掲載のAPIドキュメントには、明示的な許可なくAPIの入出力を学習に使わないと書かれています。

個人向けのGrokに、このZDRに相当する設定はありません。同じGrokでも、契約している窓口によって書かれている条件が違います。

EU・UK向けの追加保護は日本にはない

x.ai/legalには、EU・UK・スイス向けの Europe Privacy Policy Addendum(2026年8月24日発効)が置かれています。一方で、日本向けの地域別文書はありません。

日本が名指しされているわけではありませんが、除外対象にEU/UKが入っていることは明記されています。未ログインのまま使うより、ログインして学習の設定を確認しておく方が確実です。

まとめ|Grokの情報漏洩は3系統に分かれる

Grokで実際に確認されている情報漏洩は、性質の違う3系統です。サーバーへの侵入によるユーザーデータの流出は、2026年9月3日時点で確認されていません。

まず grok.com/share-links を開いて過去の共有リンクを確認し、そのうえでData Controlsとプライベートチャットの使い分けを決めると進めやすいです。医療・金融・業務上の秘密にあたる内容は、設定に関係なく入力しないことをおすすめします。

本記事は2026年9月時点の情報です。規約とFAQは改定が続いているため、最新の記載はx.ai/legalで確認してください。

また、Grokの会話や画像が第三者に見えてしまう経路については、会話や画像が他人にバレる経路と対策もあわせてご覧ください。

監修者
黒田 真次郎
監修者プロフィール
黒田 真次郎

AppTime株式会社 代表取締役:システム開発・DX支援|2018年〜現在
HOJOJO株式会社 取締役CTO:技術戦略・プロダクト開発|2024年〜2025年

関西学院大学大学院(MBA課程)にて、経営管理の高度な知見を統合。

〜主な経歴〜
2017年に個人事業主として独立。エンジニアとして数多くのシステム開発を
手掛けた後、2018年にAppTime株式会社を設立し、代表取締役に就任。
現在は自社の経営のみならず、2024年〜2025年にはHOJOJO株式会社の取締役CTO(最高技術責任者)も兼任。技術の「便利さ」だけでなく、LLM・機械学習をはじめとする先端技術を活かし、企業のコストカットや「利益創出」に直結させるという、実益重視のコンサルティングを展開している。

単なるIT導入に留まらない、経営層・役員の意思決定に資する「経営×IT」の架け橋として、次世代のDXリテラシー向上を支援している。

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