本文へスキップ
爆速開発部
SES効率化

【2026年】SESの中抜き割合は何%?公的統計の答え

投稿日 最終更新 読了約7分 閲覧数46

SESの中抜き割合はどれくらいが普通なのか、自分の単価はいくらで契約されているのか、何次請けだと手取りが減るのか――こうした疑問を抱える方は多いのではないでしょうか。

答えを出すには、公的統計がどこまで使えるかを先に分ける必要があります。本記事では中抜きの内訳、商流が深いときの目減り、自分の割合を推定する手順を、法令と公的データから整理しました。

SESの中抜き割合の相場は?公的統計で言える数字

SES(準委任契約)のマージン率を示す公的統計は存在しません。よく見かける35〜40%という数字は、厚生労働省の労働者派遣事業報告の集計結果を転用したものです。マージン率は(派遣料金−賃金)÷派遣料金で計算し、下表もこの式で算出しています。

年度派遣料金(8h換算・税込)派遣労働者賃金(8h換算)マージン率
令和5年度25,337円16,190円36.1%
令和6年度(全職種)26,257円16,735円約36.3%

令和6年度の情報処理・通信技術者の派遣料金は34,382円で、全職種平均を約3割上回ります。同じ割合でも、IT分野は中抜きされる金額そのものが大きくなります。

中抜きの内訳は?社会保険料15.7%と営業・管理費

中抜きされた分がすべて会社の利益になるわけではありません。まず動かせないのが、会社が負担する社会保険料などの法定福利費です。協会けんぽなどの2026年度(令和8年度)の公式料率を積み上げると、40歳未満・東京都で給与の約15.7%、40歳以上では約16.5%になります。

項目料率事業主負担
健康保険(東京都)9.85%4.925%
子ども・子育て支援金0.23%(全国一律)0.115%
厚生年金18.300%9.150%
子ども・子育て拠出金0.36%0.36%(全額)
雇用保険(一般の事業)1.35%0.85%
労災保険(その他の各種事業)0.3%0.3%(全額)
合計約15.7%

給与30万円なら、会社は月4.7万円前後をこの法定福利費として別に負担しています。「40%抜かれている」という話には、こうした会社が自由に使えない支出が含まれています。

商流が深いと手取りはいくら減る?多重下請けの実態

公正取引委員会は2022年6月29日、18年ぶりとなる「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査」を公表しました(資本金3億円以下の21,000社が対象)。同調査は、実際には業務を行わないまま商流に形式的に関与して利益を得る事業者を「中抜き」と定義しています。1段あたりの目減り幅を示す公的データはなく、1段10%と仮定すると100万円の案件は4次請けに渡る時点で72.9万円、20%なら51.2万円まで下がります。

調査項目数値
回答企業の位置づけ元請40.4% / 中間下請38.2% / 最終下請21.3%
中抜き事業者の存在を感じたことがある全体25.9%、最終下請33.5%
階層の深さ6次下請けとして参加した個人事業者、準委任契約で最大5社が中間に入る事例
取引依存度最終下請の44.6%が高依存
[画像:商流が1段深くなるごとに単価が目減りする流れの図解 | alt: SESの多重下請けで商流1段ごとに中抜きされ単価が減る構造]

SES事業とSES営業支援SaaSの開発で日々流れてくる案件情報には、場所や単価と並んで商流という項目が入っています。何次請けかは事業者間で明示されて流通しており、常駐している本人にだけ渡らない構造です。

SESで自分の単価が分からない理由と確認する3手順

単価が分からないのには制度上の理由があります。労働者派遣法23条5項は派遣元にマージン率などの情報提供を、34条の2は本人への派遣料金額の明示を義務づけています。準委任契約のSESはこの2つの適用対象外ですが、会社に単価を聞くこと自体を禁じる規定もありません。

  1. STEP 1

    給与から会社の人件費の下限を出す

    月給に1.157(40歳未満・東京都の場合)を掛けると、給与と法定福利費を合わせた会社の負担額が出ます。月給35万円なら約40.5万円で、単価60万円ならその差19.5万円(単価の約33%)が営業・管理費と利益の原資です。

  2. STEP 2

    契約書・注文書・就業条件の書面を確認する

    雇用契約書や就業条件明示書に単価の記載があるかを見ます。準委任契約の注文書に単価が記載されている場合もあります。

  3. STEP 3

    分配率を公開している事業者と比べる

    PE-BANKは共同受注契約で、報酬の受取回数が増えるほどエンジニアの取り分が上がり、85%から90%です(2026年8月時点)。

この3手順で出るのは推定値です。正確な金額は契約書の記載か会社への確認でしか分かりません。

中抜きされすぎの判定ラインと還元率の見方

還元率は、単価のうちエンジニアに戻る割合を指し、100%からマージン率を引いた数字にあたります。ただし「還元率80%」と示されても、分母と控除の取り方は会社ごとに異なります。会社負担分の社会保険料を還元率に含めたうえで、その分を給与から差し引く計算になっている場合もあります。

会社負担の法定福利費だけで約15.7%かかるため、還元率100%は原理的に成立しません。マージンが低いほど優良とも限らず、営業・待機保証・教育の原資が薄い会社では案件の質や待機中の保障が落ちることがあります。

まとめ|SESの中抜き割合は総額ではなく中身で見る

SESの中抜き割合には公的な相場が存在せず、割合の数字だけを取り出しても良し悪しは判断できません。給与の約15.7%は法定福利費として動かせない支出で、論点はその外側の使われ方にあります。

まず確認したいのは、契約書や就業条件明示書に単価の記載があるかどうかです。そのうえで商流に何社入っているかを営業担当に確認すると、割合の議論が具体的な金額に変わります。

本記事は2026年8月時点の情報です。保険料率や法令の改正状況は、e-Gov法令検索および各機関の公表資料を確認してください。

監修者
黒田 真次郎
監修者プロフィール
黒田 真次郎

AppTime株式会社 代表取締役:システム開発・DX支援|2018年〜現在
HOJOJO株式会社 取締役CTO:技術戦略・プロダクト開発|2024年〜2025年

関西学院大学大学院(MBA課程)にて、経営管理の高度な知見を統合。

〜主な経歴〜
2017年に個人事業主として独立。エンジニアとして数多くのシステム開発を
手掛けた後、2018年にAppTime株式会社を設立し、代表取締役に就任。
現在は自社の経営のみならず、2024年〜2025年にはHOJOJO株式会社の取締役CTO(最高技術責任者)も兼任。技術の「便利さ」だけでなく、LLM・機械学習をはじめとする先端技術を活かし、企業のコストカットや「利益創出」に直結させるという、実益重視のコンサルティングを展開している。

単なるIT導入に留まらない、経営層・役員の意思決定に資する「経営×IT」の架け橋として、次世代のDXリテラシー向上を支援している。

この記事は役に立ちましたか?

コメント

まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?

コメントを残す

送信されたコメントは編集者の承認後に表示されます。メールアドレスは公開されません。 は必須項目です。

公開されません