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SES営業の新規開拓の方法6つ|コストと歩留まりで比較

投稿日 最終更新 読了約12分 閲覧数39

SES営業の新規開拓を強化したいけれど、テレアポは何件かけても担当者に繋がらない、交流会は名刺交換で終わる、情報交換のアポは入るのに取引にならない——こうした悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。

本記事では、公正取引委員会の実態調査の数字をもとに、商流の棚卸し、チャネル6つの比較、取適法の確認事項を整理しました。SES向けツールを開発している立場からの判断軸です。

SES営業の新規開拓が必要な理由|取引先1社依存の実態

新規開拓の必要性は、取引先の数と依存度を数字で見ると分かります。公正取引委員会のソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書(2022年6月公表)に、その構造が出ています。

調査項目結果
最終下請の取引先数5社未満が7割超・1社のみが約2割
下請取引への依存度9割以上全体の3分の1強・最終下請では44.6%
回答企業の立場元請40.4%・中間下請38.2%・最終下請21.3%
「中抜き」事業者の存在を認識全体25.9%・最終下請では33.5%
下請法違反の経験買いたたき15.7%・不当な給付内容の変更14.2%・減額13.5%

また、商流ごとの取り分の実態については、SESのマージン率の平均を公的統計で確認するで解説していますのでぜひお読みください。

新規開拓の前に自社の商流と取引先を棚卸しする

開拓先を決める前に、いまの売上がどこから来ているかを数字にします。

既存の売上を商流別に分解する

やり方の選択から始めると、動いた割に取引が増えません。先に自社の現在地を4つの軸で並べます。

分解の軸見るポイント
商流の位置エンド直・元請・2次・3次以下のどれか
売上構成比上位1社・上位3社で全体の何割か
平均単価と粗利商流が深い取引先ほど単価が下がる
契約の継続期間何か月続いているか
上位1社で5割を超えているなら、増やすべきは売上ではなく取引先の数です。

また、商流が深くなるほど取り分が削られる構造は、SESの中抜き割合で整理しています。あわせてご覧ください。

自社の現在地で狙うべき開拓先は変わる

新規取引先の候補は、エンドクライアント、大手SIer、パートナーSES企業(BP)、SESエージェントの4種類です。3次請けの会社がいきなりエンド直を狙っても、提案できる要員の層が足りず商談が続きません。

自社の現在地次に狙う開拓先理由
3次請け以下・取引先1〜2社同業のSES企業(BP開拓)案件と要員の流通量がないと提案の機会が生まれない
2次請け・取引先5〜10社元請SIer・一次請け実績と要員層があり商流を1段上げる交渉ができる
元請・エンド直あり事業会社のエンド開拓とインバウンド直取引の実績をそのまま提案材料にできる
エンド直は単価が上がる一方で、要員が抜けたときの穴を自社で埋める役割も同時に負います。

SES新規開拓のチャネル6つと自社に合う選び方

6つのやり方を、初期コストと成果までの期間で並べました。

方法初期コスト成果までの期間向く相手つまずきやすい点
テレアポ低(リスト作成の工数)同業のSES企業リストの質で結果が決まる
フォーム・メール営業中(ツール月額3.9万円〜)エンド・SIer一斉送信は開封も返信も落ちる
交流会・名刺交換会低(多くが参加無料)同業のSES企業名刺交換で終わる
SESマッチングサービス中(月額2万円〜)同業のSES企業競合も同じ情報を見ている
既存取引先からの紹介ほぼゼロ同業のSES企業・エンド件数を自社で決められない
インバウンド中〜高(制作・運用)長(半年〜)エンド・同業のSES企業立ち上がるまで成果が出ない

テレアポ|即日動けるがリスト作成に手間がかかる

SES同士は案件と要員を交換し合う関係にあるため、他業種への新規テレアポよりは話を聞いてもらえます。ただしアポと取引は別です。リストを次の3軸で切ると当たりが変わります。

  • 業種(自社の要員が強い領域と重なるか)
  • エリア(常駐先に通える範囲か)
  • 商流の位置(相手が何次請けか)

初回の架電では、対応領域・すぐ動かせる要員数・自社の商流の位置の3点を先に伝えると、担当者へ回されやすくなります。

問い合わせフォーム・メール営業|量を出せるが精度は落ちる

フォーム営業は自動化ツールで量を出せます。リードダイナミクスは月額3.9万円から(税抜・初期費用0円)。SES同士よりも、エンドやSIerへの初回接点づくりに向きます。

一斉送信の文面のままでは、開封も返信も伸びません。

交流会・名刺交換会|東京と大阪で週次開催・大半が無料

イベント告知サイトのこくちーずプロには、SES交流会が20件以上掲載されています(2026年8〜9月開催分)。開催地は渋谷・新宿・有楽町・池袋などの東京と大阪が中心で、ペースは週次。参加費は無料のものが大半です。

名刺交換で終わらせないために、その場で対応領域と稼働できる要員数まで話しておきます。

SESマッチングサービス|即戦力だが競合も同じ情報を見ている

案件と要員の情報がすでに集まっているので、登録した日から提案に使えます。BIZPIAは月額2万円で、システムの仲介手数料はかかりません。無料のまま使い続けられるサービスはほぼなく、月額課金が前提です。

同じ情報を競合も見ているため、返信の速度がそのまま結果に出ます。

また、ツールごとの料金や対応範囲の違いについては、SESツール比較14選で解説していますのでぜひお読みください。

既存取引先からの紹介|歩留まりは最も高いが再現性がない

6つの中で歩留まりが最も高いのは紹介です。既存の取引先と情報交換の頻度を保っていると、相手の手が足りない案件が回ってきます。自社で受けきれない案件を先に他社へ回しておくと、逆方向の紹介も戻ってきます。

ただし、こちらの都合で件数をコントロールできません。開拓の主軸には置けない性質です。

インバウンド|立ち上がりは遅いが接点が向こうから来る

自社サイトのパートナー募集ページと、オウンドメディアでの発信が主な手段です。成果が出るまでは半年単位かかります。その代わり、営業が動いていない時間にも問い合わせが入る状態は他のチャネルにありません。

6つを同時に自社だけで回すには、営業の人数が要ります。営業が1〜2名なら、即効性のあるテレアポと紹介を自社で持ち、量が要るフォーム営業を外に出す切り分けが現実的です。

また、外部に出す場合の費用は、SES営業代行の費用相場にまとめています。あわせてご覧ください。

SES特有の「情報交換」を成果につなげる進め方

SESの新規開拓で最も件数が多いのが、情報交換の面談です。

情報交換の面談で実際に何をするのか

情報交換は、案件情報と要員情報を送り合う関係を作る行為です。配信先を増やすこと自体が新規開拓になる点が、SES業界に固有の構造といえます。面談では次の3つをすり合わせます。

  • お互いの対応領域
  • 稼働できる要員の数と単価帯
  • いま動いている案件の傾向

面談後はメールやチャットでの案件・要員の配信に移ります。案件の動きが早い相手ほど、やり取りの頻度は上がります。

情報交換が空振りに終わる理由

SES営業の実務者からは、配信先リストの拡大や訪問件数のKPI消化が目的のアポが多いという指摘が出ています。空振りになる典型は3つです。

  • お互いの対応領域が噛み合っていない
  • 相手側に決裁も案件も要員もない
  • 一度きりで、その後の配信が続かない

実のある情報交換にするために持っていくもの

先に開示するほど、相手も具体的な情報を出してきます。手ぶらで相手の話を聞くだけの面談にはしません。

  • 対応領域と得意な技術スタック
  • すぐ稼働できる要員の人数と単価帯
  • 直近で決まった案件の傾向(業種・工程・商流)
  • 自社の商流の位置

一方で、配信先を無制限に増やすと1件あたりの対応が薄くなります。継続的にやり取りする相手を絞り、残りは配信のみにする線引きが要ります。

新規開拓先と組む前の確認事項|取適法と偽装請負

開拓した相手と契約を結ぶ前に、法令面で確認する点が3つあります。

取適法で変わった発注側のルール

下請法が改正され、2026年1月1日に中小受託取引適正化法(取適法)が施行されました。呼び方も「親事業者→委託事業者」「下請事業者→中小受託事業者」に変わっています。

  • 手形払いの禁止(電子記録債権・ファクタリングを含む)
  • 協議を尽くさない一方的な代金決定の禁止
  • 事業所管省庁への指導権限の付与
  • 従業員数基準の新設(従来の資本金基準に加えて判定)

自社と取引先のどちらが委託事業者に当たるかは、取適法簡易診断で確認できます。

新規開拓先が委託事業者になるときの確認

相手が発注側に立つ取引では、支払条件が自社の資金繰りに直結します。初回の商談で次の4点を確認します。

  • 支払期日が納品・役務提供から60日以内か
  • 手形やファクタリングでの支払を求めていないか
  • 契約条件を書面か電磁的方法で出すか
  • 単価を協議なしに一方的に決めていないか

公正取引委員会は2026年6月、委託事業者75,000社を対象とする定期調査を始めています。書面を出したがらない、支払サイトを明言しない相手は、この段階で保留にします。

偽装請負・二重派遣にしないための確認

SESは準委任契約で、指揮命令権は自社にあります。開拓先がエンジニアへ直接指示を出す形なら偽装請負です。商流が深い案件では、受け入れた要員を別会社へ出す二重派遣も起きます。

  • 何次請けかに即答できるか
  • 指揮命令が誰から出るか
  • 実際の就業先と指揮命令者を書面で確定できるか
  • 契約の形態(準委任か派遣か)

二重派遣は職業安定法・労働者派遣法に触れます。フリーランスエンジニアと直接契約する場合は、フリーランス法(2024年11月1日施行)で自社が義務を負う側になります。

新規開拓の後に増える案件・要員メールの捌き方

新規開拓は、案件と要員の情報が流れてくる入口を増やす行為です。開拓を続けている会社ほど届く情報量が増え、ここが詰まると提案が出ないまま案件が閉じます。

  • 取り込みの一元化:メールとチャットに散った情報を1か所に集める
  • 構造化:単価・稼働時期・商流・工程・国籍要件を項目として持たせる
  • 優先順位付け:今すぐ出せる要員と、先に仕込む要員を分ける

SESの案件・要員メールは記載量が少なく、項目も欠けています。汎用のAIでは、国籍要件や商流の深さのような明示されない条件を取りこぼしがちです。

また、案件と要員の突合をツールで扱う場合の判断軸については、SES営業のAIマッチングツールの選び方と料金相場で解説していますのでぜひお読みください。

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まとめ|SES営業の新規開拓は商流の棚卸しから

SES営業の新規開拓は、やり方を選ぶ前に自社の商流の位置を数字にするところから始まります。公取委の調査が示すとおり、取引先の数と依存度は価格交渉力に直結します。

まず既存の取引先を、商流の位置・売上構成比・単価・継続期間の4列で並べます。上位1社の比率が高い場合は、同じ商流帯のパートナー開拓から着手します。

本記事は2026年8月時点の情報です。取適法の適用対象や運用は、公正取引委員会の取適法特設ページで確認してください。

監修者
黒田 真次郎
監修者プロフィール
黒田 真次郎

AppTime株式会社 代表取締役:システム開発・DX支援|2018年〜現在
HOJOJO株式会社 取締役CTO:技術戦略・プロダクト開発|2024年〜2025年

関西学院大学大学院(MBA課程)にて、経営管理の高度な知見を統合。

〜主な経歴〜
2017年に個人事業主として独立。エンジニアとして数多くのシステム開発を
手掛けた後、2018年にAppTime株式会社を設立し、代表取締役に就任。
現在は自社の経営のみならず、2024年〜2025年にはHOJOJO株式会社の取締役CTO(最高技術責任者)も兼任。技術の「便利さ」だけでなく、LLM・機械学習をはじめとする先端技術を活かし、企業のコストカットや「利益創出」に直結させるという、実益重視のコンサルティングを展開している。

単なるIT導入に留まらない、経営層・役員の意思決定に資する「経営×IT」の架け橋として、次世代のDXリテラシー向上を支援している。

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