SES案件管理表に必要な列と3つの手段|脱Excel

SESの案件管理をExcelとメールで回してきたけれど、案件が受信箱に埋もれる、同じ案件が別のBPから届く、誰にどの案件を提案したか分からない、待機に気づくのが遅れる――こうした状態に心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
本記事では、SES固有の管理項目・Excelが壊れる規模・重複提案の防ぎ方を整理しました。SES向けの営業支援ツールを開発する中で見えた論点を含みます。
SESの案件管理とは?要員管理・契約管理との違い
SESの案件管理は、BPから届いた引き合いを台帳に載せ、要員を提案し、契約に着地させるまでを扱う業務です。この流れは「引き合い→案件→提案→契約」の4段階に分けて持ちます。引き合いと案件を別物として扱うと、情報がどこで落ちたかを段階で特定できます。
| 段階 | 状態 | 管理の主目的 |
|---|---|---|
| 引き合い | BPからメール等で届いた生の案件情報 | 取りこぼさない・重複を弾く |
| 案件 | 台帳に登録し、条件を列に構造化したもの | 検索・突き合わせできる状態にする |
| 提案 | 特定の要員を出した記録 | 誰にいつ何を出したかの履歴を残す |
| 契約 | 成約後の稼働・請求・更新 | 契約更新漏れ・請求漏れを防ぐ |
4段階のどこが抜けているかで、必要な打ち手は変わります。
また、案件管理を担う営業職そのものの仕事内容については、SES営業の業務内容で解説していますのでぜひお読みください。
SES案件管理が散らかる原因はメールと台帳の断絶
SESの案件はメールで届きます。台帳に載るのは、誰かが本文から条件を拾って手で転記したときだけです。転記の手間を放置すると、台帳は次の順番で機能しなくなります。
- BPから案件メールが届く
- 台帳に載せるには、件名と本文から勤務地・単価・商流・スキル要件を拾い直す必要がある
- 手間に見合わないので、営業は自分の受信箱とフォルダで案件を完結させる
- 台帳には成約寸前の案件しか登録されなくなる
- 台帳を見ても今動いている引き合いが分からず、誰も見に行かなくなる
取り込み経路を持たない台帳は、入力ルールを厳しくしても埋まりません。項目設計より先に、案件がどの経路で台帳に入るかを決めます。
SES案件管理表に持たせるSES固有の管理項目

汎用SFAの項目だけでは、SESの案件は絞り込めません。案件側と提案側に分けて、必要な列を並べます。
案件そのものに持たせる項目
案件名・顧客名・フェーズ・確度・見込金額という汎用SFAの列では、提案できる要員を1人も絞り込めません。SESでは、案件の受け入れ条件そのものを列にします。
| 列 | 値の例 | 用途 |
|---|---|---|
| 商流段数・エンド名 | エンド直/プライム/二次請け、非開示 | 粗利の上限が決まる・名寄せのキーに使う |
| 勤務地・出社頻度 | 東京23区、週2出社、フルリモート | 要員の受諾可否に直結する |
| 単価レンジ | 60〜70万円 | 提案可能な要員を機械的に絞れる |
| 精算幅(上下) | 140〜180h、上下割り | 実質単価が変わる |
| 受け入れ条件 | 国籍要件、年齢上限、面談回数 | 提案前に弾くための条件 |
| 受信日時・回答期限 | 8/20受信、8/22 12時締め | 案件の鮮度を判定する |
| 残枠・クローズ理由 | 2名→0名、充足、募集停止 | 充足済みの案件を台帳から消す |
提案と要員に紐づける項目
案件側の列だけでは、誰にいつ何を出したかが残りません。提案を案件と要員の両方に紐づく記録として持つと、案件管理と要員管理がつながります。
- 提案日・提案した要員・提案ルート(どのBP経由で出したか)
- 提案ステータス(提案中/面談待ち/見送り/成約)と見送り理由
- 提示単価と着地単価(差額がそのまま粗利)
- 同一要員の並行提案の有無
- 要員の稼働終了予定日と、次の提案を打ち始める日
稼働終了予定日を提案履歴と同じ画面に置くと、空きが出る前に次の提案を始められます。
SES案件管理でExcelが限界になる規模と金額

脱エクセルの判断は、感覚ではなく規模と金額で決められます。壊れる順番と待機の実損を分けて見ます。
何名・何案件で壊れるか
Excel・スプレッドシートが使えなくなるのは、ファイルの性能の問題ではありません。営業が増えて情報が割れた瞬間から、一元管理が成立しなくなります。
| 規模・状態 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 要員10名前後・営業1名 | Excelとメールで足りる。案件は個人の受信箱でも追える |
| 要員30名前後 | 情報がブラックボックス化し、売上は伸びるのに利益が残らない |
| 案件の入り口が複数になる | 同じ案件が複数の営業に届き、重複提案が起きる |
| 要員100名超 | 必要な工数が大幅に増え、Excelによる管理が難しくなる |
待機と提案遅れがいくらの損になるか
待機で消えるのは売上だけではありません。エージェントグロー代表が2022年に公開した例では、待機時の月給が0円から35万円まで4通りに分かれます。待機中も給与を払う会社では、稼働していない要員の人件費がそのまま残ります。
単価60万円クラスの要員が1ヶ月待機すると、消える売上は月1万〜5万円のツール費用の10倍を超えます。
また、単価と粗利の水準そのものについては、SESのマージン率の平均で解説していますのでぜひお読みください。
SES案件の重複提案を防ぐ名寄せと突き合わせ
異なるBPから同じ案件が届くのは、SES営業では珍しくありません。要員が見つからない案件は別のSES企業へ回るため、1つの案件が複数社に滞留します。同一案件をまとめる名寄せは、次のキーの組み合わせで判定します。
- エンド名または元請け名(非開示なら発注元の業種で代用する)
- 勤務地の最寄り駅と出社頻度
- 参画開始月と募集人数
- 必須スキルの上位2つ
- 単価レンジと精算幅
重複を弾く仕組みがないと、同じエンドに同じ要員が二重に出ます。条件の悪いルートで先に提案すれば、取れるはずの粗利を自分で削ります。
SES案件管理システムに移す判断と3つの手段

ツールに移すかは運用ルールを決めてから判断します。決める3点と手段別の分岐条件を並べます。
ツールを入れる前に決める運用ルール
ツールを入れても、案件を台帳に入れる人が決まっていなければ元に戻ります。項目より先に、次の3点を決めます。
この3点は製品の比較を始める前に決め、営業全員に共有します。
スプレッドシート・汎用SFA・SES専用の分岐
移すかどうかは、案件の入り口が複数あるかで決まります。BPが1社に固定されているなら、スプレッドシートの共有と権限設定で足ります。入り口が増えるほど、重複の突き合わせが人力では回らなくなります。
| 手段 | 向く条件 | 費用感 |
|---|---|---|
| スプレッドシート | 要員30名まで・営業2名まで・案件の入り口が固定 | 実質0円 |
| 汎用SFA・CRM・kintone | 商談管理と兼用したい・自社で項目を作り込める担当がいる | 1ユーザー月1,000〜1,800円台(kintoneは最低10ユーザー) |
| SES専用システム | 複数BPから案件が届く・重複と待機が実損になっている | 月1万〜5万円程度。初期費用は不要な製品と2万円程度かかる製品がある |
無料で試す場合は、1ユーザー限定の無料契約や1ヶ月の無料トライアルを持つ製品があります。メールからの自動取り込みやAIマッチングを備えた製品では、精度とデータの扱いを個別に確認します。
また、製品ごとの機能と料金の違いはSES管理ツールの製品比較で整理しています。AIでのマッチングを検討している方は、AIマッチングツールの選び方と料金相場もあわせてご覧ください。
Qasicaは、AppTimeが開発しているSES営業支援SaaSです。無料のデモ・資料請求はこちらから。
まとめ|SES案件管理は列と取り込み経路で決まる
SESの案件管理が散らかる原因は、ツールの有無ではなく台帳の列と取り込み経路の設計にあります。汎用SFAの項目をそのまま使う限り、Excelでもシステムでも同じ場所で詰まります。
まず、今使っている案件管理表に商流段数・回答期限・提案履歴の3列があるかを確認することをおすすめします。3列がそろっていてなお案件が受信箱に残るなら、ツールの検討に進む段階です。
本記事は2026年8月時点の情報です。料金や機能は各サービスの公式サイトで確認してください。
AppTime株式会社 代表取締役:システム開発・DX支援|2018年〜現在
HOJOJO株式会社 取締役CTO:技術戦略・プロダクト開発|2024年〜2025年
関西学院大学大学院(MBA課程)にて、経営管理の高度な知見を統合。
〜主な経歴〜
2017年に個人事業主として独立。エンジニアとして数多くのシステム開発を
手掛けた後、2018年にAppTime株式会社を設立し、代表取締役に就任。
現在は自社の経営のみならず、2024年〜2025年にはHOJOJO株式会社の取締役CTO(最高技術責任者)も兼任。技術の「便利さ」だけでなく、LLM・機械学習をはじめとする先端技術を活かし、企業のコストカットや「利益創出」に直結させるという、実益重視のコンサルティングを展開している。
単なるIT導入に留まらない、経営層・役員の意思決定に資する「経営×IT」の架け橋として、次世代のDXリテラシー向上を支援している。

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