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SES営業の業務委託、相場はいくら?固定型と成果報酬型に分けて整理

投稿日 最終更新 読了約13分 閲覧数88

SES営業を業務委託したいものの、費用相場が読めない、個人に頼んで法的に問題はないのか、顧客を持っていかれないか——こうした疑問を抱える方は多いのではないでしょうか。

本記事は、委託先5類型と費用相場、契約形態、フリーランス法の適用関係、名義貸しと商流の整理をまとめました。

SES営業を業務委託する5つの方法と費用相場

委託先のタイプと、報酬体系の2つに分けて整理します。

委託先は営業代行会社・フリーランスなど5種類

SES営業の外部委託先は5種類に分かれます。費用の形・立ち上がりの速さ・商流リスク・法令リスクの4点で特徴が変わります。

委託先タイプ費用の形と金額立ち上がり商流・法令リスク
SES特化の営業代行会社営業代行の月額固定は50〜70万円/月、戦略設計まで含むと140万円〜。成果報酬型は成約エンジニアの粗利の40〜50%を月次で継続。体制ごと入るため、送り先リストがない状態からでも稼働量を確保しやすい商流に入るかどうかで顧客の帰属が変わる。従業員を使う法人が相手ならフリーランス法の対象外だが、代表者のみの一人法人なら対象になる
フリーランス営業成果報酬(粗利の30〜50%)。成約が積み上がるほど月々の支払いも増える実質1人分の稼働。個人が持つ商流の広さに左右される個人・一人法人はフリーランス法が全面適用。顧客が担当個人に付きやすい
副業人材月5万円程度の固定+歩合、時給1,500〜3,000円の募集例本業の合間の稼働なので、投下できる時間が限られる稼働時間を指定すると労働者性の論点が出る。個人なのでフリーランス法の対象
営業マッチングサービスサービスにより異なる。掲載案件が全件固定報酬型のものもあり、成果報酬で探すなら向かない登録営業フリーランスが約2万人規模のサービスもある。募集から選定までに期間が要る契約相手が個人ならフリーランス法の対象になる
アポ獲得の切り出し1件1〜5万円。条件が緩ければ1〜2万円、決裁者との対面設定なら3〜5万円1件単位で発注でき着手は早い。商談以降は自社が引き取る商流には入らない。自社名義でアポを取るなら、説明内容の責任は自社に来る

報酬体系は固定・成果・ハイブリッドの3型

報酬体系は固定・成果・ハイブリッドの3つです。

報酬体系費用の出方12か月の負担(単価70万円・粗利15万円の要員を想定した試算)
固定型成約ゼロでも月額が発生する。立ち上げ期に稼働量そのものを買う月50万円なら年600万円。成約数に関わらず一定
成果報酬型初期の持ち出しを抑えられる。成約分の粗利を継続的に分ける粗利40%なら1名あたり月6万円・年72万円。翌年も稼働が続けば同額が続く
ハイブリッド型最低限の稼働を固定で担保し、上振れ分を成果に連動させる月額固定10〜30万円で年120〜360万円。これにアポ課金1〜2万円/件が乗る

固定型の年600万円と成果報酬型が並ぶのは、粗利15万円の要員を8〜9名成約させたときです。成果報酬は稼働が続く限り翌年も発生するため、成約が積み上がるほど年額は固定型を上回ります。

業務委託の契約形態|準委任と請負の使い分け

業務委託契約という契約類型は、法律上は存在しません。民法上は請負契約と準委任契約の2つで、どちらで組むかによって責任の範囲が変わります。

項目請負契約準委任契約
報酬の対象仕事の完成事務の処理(業務の遂行そのもの)
受託者が負う責任契約不適合責任善管注意義務
中途で終わった場合完成しなければ報酬は発生しない。注文者が受ける利益の割合に応じた報酬にとどまる(民法634条)履行の割合に応じて報酬が発生する(民法648条3項)
中途解約完成前は注文者が損害を賠償して解除できる(民法641条)各当事者がいつでも解除できる(民法651条)
再委託原則として可能。制限するなら特約で明記する原則として受任者本人が処理する(民法644条の2)
SES営業での通例成果報酬型に当てはめられることが多い月額固定型に当てはめられることが多い

個人への委託はフリーランス法が全面適用される

取適法との適用関係、発生する義務、指揮命令の3つに分けます。

取適法(旧下請法)はSES営業の委託に適用されない

下請法は2026年1月1日施行で取適法(中小受託取引適正化法)に改称されました。従来の資本金基準に加えて従業員数の基準が追加され、手形払いの禁止なども入っています。ただしSES営業の外部委託は、この法律の対象になりません。

個人・副業人材への委託で発生する義務と60日ルール

フリーランス法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)は、自家使用役務も業務委託に含みます。公正取引委員会のQ&Aが「発注事業者が自ら用いる役務も本法上の『業務委託』に該当します」と明記しています。

取引の状況発生する義務
すべての業務委託取引条件の明示(書面または電磁的方法。口頭は不可)/給付を受領した日から60日以内の報酬支払い
1か月以上の委託7つの禁止行為(受領拒否、報酬減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益提供要請、不当な給付内容変更・やり直し)
6か月以上の継続的委託中途解除の30日前予告、ハラスメント対策の体制整備、育児介護への配慮、募集情報の正確表示

指揮命令すると偽装請負・労働者性を問われる

業務日報の提出義務、稼働時間の指定、朝会への参加強制。こうした運用を課すと、契約が業務委託でも労働者性を認定されることがあります。

  • 判断基準は昭和60年の労働基準法研究会報告の「使用従属性」。指揮監督下の労働と報酬の労務対償性を軸に、事業者性や専属性などの補強要素を加えた総合判断
  • 厚生労働省は令和6年10月に労働者性の判断基準に関する参考資料集を公表。約40年ぶりとなる基準見直しの議論も進んでおり、帰結は確定していない
  • 労働者供給に当たると職業安定法44条違反となり、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。供給する側と受ける側の双方が罰則の対象

名義貸しと商流|顧客の帰属が変わるパターン

SES営業の委託は、代行会社が名義を使うか、商流に入るかで性質が変わります。この組み合わせで、粗利・契約主体・顧客の帰属・トラブル時の責任が動きます。

組み合わせ契約主体と顧客の帰属粗利とコントロール
名義貸しなし × 商流に入らない自社が契約主体。顧客も自社に帰属する純粋な営業支援。委託費のぶんだけ粗利は減るが、単価と条件は自社で決められる
名義貸しなし × 商流に入る代行会社が契約主体になり、自社は下位に置かれる商流が1段増えるごとに、単価の10〜20%が中間マージンとして抜かれる水準。単価70万円・原価55万円で粗利15万円の要員なら7〜14万円が減り、自社の取り分は1〜8万円まで落ちる。顧客との直接の関係が切れる
名義貸しあり × 商流に入らない自社の名前で代行が動く。顧客からは自社の営業に見える粗利は残るが、代行が行った説明や条件提示の責任は自社に来る
名義貸しあり × 商流に入る名義も商流も代行側に依存する自社のコントロールが最も効かない。契約終了時に顧客が代行側へ残りやすい

SES営業の業務委託で失敗する5パターンと防ぎ方

委託が機能しない原因は「認識のズレ」でまとめられがちです。実際に起きているのは次の5パターンです。

失敗パターン何が起きるか防ぎ方
成果報酬だけで代行が動かない売れない商材と判断されると時間を割かれなくなり、実質停止する。SESの商材はエンジニアなので、要員のスキルシートが弱いと代行は動かない最低限の固定を置く。委託前にスキルシートの記載品質を上げる
アポは来るが決まらない委託先が担保できるのはアポまで。商談化と成約は自社の商談力がボトルネックになるKPIをアポ数ではなく商談化率・提案通過率に置く
単価を詰めずに決めてくる成果報酬の件数を優先されると、単価交渉を詰める前に成約する。粗利の薄い案件だけが積み上がる報酬の算定基準を売上ではなく粗利に置く。最低粗利ラインを契約に書く
顧客・エンジニアの引き抜き委託先が顧客と直接つながり、要員も流れる顧客名簿の帰属、秘密保持、競業避止を契約で定める
実質的に指揮命令している前章のとおり、労働者性や偽装請負の論点が出る稼働時間の指定や日報の義務づけを外し、成果物と報告事項で管理する

経済産業省の競業避止義務契約の有効性についてでは、顧客名簿や取引内容が経営の根幹に関わる重要情報と判断されうると整理されています。守る対象を顧客名簿と案件情報に絞って条項を考えましょう。

SES営業を増やす前に1人あたりの処理量を見る

営業を1人増やす前に、1人あたりが処理している案件量を確認します。委託先を増やしても、案件メールとスキルシートの手処理は減りません。委託先も同じ作業を並行するだけです。

自社の状況向く打ち手
送り先リストがなく、パートナーとの接点も薄い外部委託。新規開拓のチャネル自体を持ち込んでもらう。稼働量を買う固定型が合う
案件は届いているのに捌けていない。待機が出ている処理の仕組み化。メールやLINEに流れる案件・要員情報の突合を自動化する
案件も要員もメール・LINEでやり取りしていない。付き合いのある会社へ属人的に依頼して回っているどちらも効きにくい。マッチングの範囲を広げる余地が小さい
人を1人増やせば、1人分の処理量は増えます。ただし、目を通せていない案件が残る構造そのものは変わりません。

また、案件と要員の突合を仕組み化するときの選定軸は、SES営業のAIマッチングツールの選び方と料金相場で解説しています。

個別ツールの機能と料金を並べて比べる場合は、SESツール比較14選もあわせてご覧ください。

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まとめ|SES営業の業務委託は費用・契約・商流で判断する

最後にこの記事の内容をまとめます。

この順番を飛ばして相見積もりから入ると、費用の安さだけで委託先が決まります。処理量の確認と名義・商流の条件を固めてから、各社の見積もりを取ります。

本記事は2026年8月時点の情報です。最新の内容は公正取引委員会のフリーランス法のページを確認してください。

監修者
黒田 真次郎
監修者プロフィール
黒田 真次郎

AppTime株式会社 代表取締役:システム開発・DX支援|2018年〜現在
HOJOJO株式会社 取締役CTO:技術戦略・プロダクト開発|2024年〜2025年

関西学院大学大学院(MBA課程)にて、経営管理の高度な知見を統合。

〜主な経歴〜
2017年に個人事業主として独立。エンジニアとして数多くのシステム開発を
手掛けた後、2018年にAppTime株式会社を設立し、代表取締役に就任。
現在は自社の経営のみならず、2024年〜2025年にはHOJOJO株式会社の取締役CTO(最高技術責任者)も兼任。技術の「便利さ」だけでなく、LLM・機械学習をはじめとする先端技術を活かし、企業のコストカットや「利益創出」に直結させるという、実益重視のコンサルティングを展開している。

単なるIT導入に留まらない、経営層・役員の意思決定に資する「経営×IT」の架け橋として、次世代のDXリテラシー向上を支援している。

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