要員管理ツールは4種類|Excel脱却の判断と料金相場

要員管理をExcelで回してきたけれど、担当者しか触れない、契約満了の見落としが出る、月末の精算突合が終わらない、脱却してツールに移すべきか判断できない——こうした疑問を抱える方は多いのではないでしょうか。
本記事では、Excel脱却の判断基準、まだ回せる会社のシート設計、ツールの4分類と料金相場、選定で抜けやすい確認項目を、SES向けツールを開発している立場から整理しました。
要員管理のExcelが限界を迎える3つの症状
Excelは追加コストがかからず、全員が使えて、列を自由に足せます。それでも限界が来るのは、次の3つが同時に出るときです。
上の2つは表現力の問題で、条件付き書式や関数である程度は補えます。3つ目だけはシートを作り直しても消えません。
Excel脱却の判断はエンジニア数だけで決めない
Excelをやめる目安として語られる人数は、30名から100名まで開きます。同じ人数でも、案件数・商流・精算の型によって扱う情報量が変わります。
| 語られている閾値 | 出典 |
|---|---|
| エンジニア30名超でExcelとファイルサーバー管理は破綻 | 事務SOL(2026年2月) |
| 要員100名以上のExcel運用企業は、ほぼ要員計画通りに成果が出ていない | fapi(自社194名のSES事業者) |
| 案件管理は項目を正しく設計すれば営業2〜3名までは機能する | etika |
| 14項目のチェックで5個該当ならシステム化を検討 | ZAC・オロ(2024年) |
壊れる原因はアサイン表ではなく、精算ルールが別ファイルにあることです。上下割・中割・日割で基準時間が案件ごとに違うため、列設計がそのたびに割れます。
また、商流ごとの単価と還元の考え方については、SES単価の還元率、その計算は合ってる?公的データで検算で解説していますのでぜひお読みください。
まだExcelで回せる会社の要員管理シート設計

該当が2個以下ならシートの作り直しで持ちます。直す3点と、スプレッドシートの限界を分けて見ます。
要員管理シートは1行1アサインに直す
崩れるアサイン管理シートの多くは1名1行で、月ごとに列を右へ足していく形です。1名が複数案件に入った時点でこの形は破綻します。1行1アサインに組み替えます。
| 列 | 項目 | 入る値の例 |
|---|---|---|
| A・B | 要員ID・氏名 | E-014・T.S |
| C・D | 案件ID・商流階層 | P-2026-031・2次 |
| E・F | 参画開始日・終了日 | 2026/09/01・2026/11/30 |
| G・H・I | 基本単価・精算下限h・上限h | 600000・140・180 |
| J | ステータス | 稼働中 |
| K | 精算方式 | 上下割(中割・日割もこの列で持つ) |
入力規則と条件付き書式で崩れを止める
集計を壊すのは表記ゆれです。入力の段階で選択肢を固定します。
- ステータス(稼働中・待機・内定・終了)はデータの入力規則のリストから選ばせ、直接入力を禁止する
- 日付列は表示形式を
yyyy/mm/ddに固定し、「2026年9月」「9/1」の混在を防ぐ - 終了日が60日以内の行を着色する条件付き書式:
=AND($F2"", $F2-TODAY()=0) - シートを「アサイン明細」「要員マスタ」「案件マスタ」に分け、氏名は入力せずVLOOKUPで引く
稼働率の集計を関数で自動化する
稼働率と満了予定は目視で数えず、アサイン明細から関数で出します。列記号は前の表の設計に合わせています。
| 出したい値 | 数式 |
|---|---|
| 9月に稼働するアサイン行数 | =SUMPRODUCT((アサイン明細!$E$2:$E$500=DATE(2026,9,1))*(アサイン明細!$J$2:$J$500="稼働中")) |
| 9月に稼働する要員数(重複を除く) | =SUMPRODUCT((要員マスタ!$A$2:$A$500"")*(COUNTIFS(アサイン明細!$A$2:$A$500,要員マスタ!$A$2:$A$500,アサイン明細!$E$2:$E$500,"="&DATE(2026,9,1),アサイン明細!$J$2:$J$500,"稼働中")>0)) |
| 在籍人数 | =COUNTA(要員マスタ!$A$2:$A$500) |
| 稼働率 | 稼働要員数のセル ÷ 在籍人数のセル |
| 60日以内に満了するアサイン件数 | =COUNTIFS(アサイン明細!$F$2:$F$500,">="&TODAY(),アサイン明細!$F$2:$F$500,"<="&TODAY()+60) |
| 超過単価・控除単価 | =G2/I2(600,000÷180=約3,333円)・=G2/H2(600,000÷140=約4,286円) |
| 中割の時間単価 | =G2/((H2+I2)/2)(140〜180hの中央160h基準で3,750円) |
Googleスプレッドシートで解決する範囲
同時編集と履歴の問題は、Googleスプレッドシートに移すだけで解決します。ただし残る項目があります。
精算の二重管理が問題なら、移す先はスプレッドシートではありません。ただし1行1アサインへの正規化は、そのままツール移行時のCSVインポート用データとして使えます。
要員管理ツールは4種類、料金相場と無料の限界

移すと決めたら、種類・課金モデル・無料の範囲の順に見ます。
要員管理ツールは用途で4タイプ
要員管理ツールは、何を主役に置くかで4つに分かれます。SES事業者の候補になるのは、次の表の上2タイプです。
| タイプ | 主役の機能 | 代表製品 | 向く会社 |
|---|---|---|---|
| 要員管理特化 | 人と案件のアサイン可視化 | Co-Assign、ようかん | アサイン判断を速くしたい |
| SES管理システム | 契約・精算・請求まで一気通貫 | SESクラウド、Fairgrit、SES支援システム、SESWORKS、fapi | 月末の突合が重い |
| タレントマネジメント | スキル・評価・育成データの蓄積 | カオナビ、Skillnote | 人材情報の管理が目的 |
| 汎用PMツール | 工数とプロジェクト進行 | Backlog、Asanaなどの汎用SaaS | 受託開発が中心 |
課金モデル4種で総額が逆転する
全社定額型の公式表示は月8,000円から55,000円まで開きます。課金の単位が違うため、自社の人数で安い順が入れ替わります。
| 課金モデル | 月額の例 | 初期費用 | 有利な会社 |
|---|---|---|---|
| 全社定額 | SESクラウド 8,000〜28,000円(税別)、SES支援システム 25,000〜45,000円(ユーザー数無制限)、Co-Assign 30,000円〜、Fairgrit 55,000円〜 | SESクラウド50,000円、SES支援システム20,000円、ほかは0円 | 人数が多い会社 |
| 人数課金 | fapi 300〜800円/人・月(上位プランは100名から)、Talevis 700円/人(税別) | fapiは通常500,000円が確認時点でキャンペーン無料、Talevisは0円 | 人数が少ない会社 |
| 件数課金 | SESWORKS 880円/契約件数(税込・30件で26,400円) | 0円 | 契約件数の変動が大きい会社 |
| ID課金 | ようかん(ID数に応じた課金・公式に料金の記載なし) | 記載なし | シートを触る人が少ない会社 |
無料・フリーツールの限界
恒久的に無料で使えるSES向けの要員管理ツールは見当たりません。無料で触れるのはトライアル期間です。
- 30日間無料:Co-Assign(全機能)、ようかん
- 1ヶ月無料:SESクラウド、SES支援システム、fapi
- 期間の記載なしで全機能を試せる:Talevis
無料の要員管理ツールを探している段階なら、先にシート設計を直す方が費用は下がります。
また、個別製品の機能差については、SESツール比較14選!AIの担当範囲や料金まで整理で整理していますのであわせてご覧ください。
SES管理ツール選定で抜けやすい3つの確認項目
機能比較表に載らない項目で、導入後の工数と選択肢が変わります。抜けやすいのは次の3つです。SES向けツールを開発している立場から、商談で確認しておきたい質問もあわせて並べます。
| 確認項目 | 見るポイント | 実例 |
|---|---|---|
| 出口(Excel・CSV出力) | 取引先への提出資料や請求根拠を出力できるか | 比較した5ツールのうちExcel出力に対応するのは2つだけ、と指摘する記事がある(スフィアネット) |
| 最低契約期間 | 合わなかったときに抜けられるか | Fairgrit 1ヶ月(解約金なし)、SES支援システム 6ヶ月、fapi 1年 |
| 要員情報の外部送信 | 外部AIに送っているか、学習に使われるか | スキルシートは氏名・経歴を含む個人データ。取引先への提出は第三者提供にあたり、記録義務(個人情報保護法29条・30条)の対象になりえる |
AI機能を載せたSESツールは増えていますが、送信先を明記した製品情報は多くありません。個人データを含むプロンプトの入力では、応答の出力以外の目的で扱われないかを先に確認します(個人情報保護委員会・2023年6月の注意喚起)。
また、AIの担当範囲と選び方については、SES営業のAIマッチングツールの選び方と料金相場で整理していますのでぜひお読みください。
Qasicaは、AppTimeが開発しているSES営業支援SaaSです。無料のデモ・資料請求はこちらから。
Excelからツールへ移行する手順とよくある質問

脱エクセルの失敗は機能不足ではなく、入力が続かないことで起きます。手順と、移行前の質問を分けます。
移行の5ステップと二重運用の期限
データ整備から順に進めます。つまずくのは現場が入力しなくなるときで、載せる機能を絞ると起きにくくなります。
- STEP 1
現行Excelの棚卸し
どのシートが誰の判断に使われているかを洗い出します。使われていない列は移行しません。
- STEP 2
1行1アサインへの正規化と精算条件の集約
日付・ステータス・商流階層の表記を固定し、案件ごとの精算方式と下限・上限hを1か所に集めます。ここがCSVインポートの成否を決めます。
- STEP 3
最小機能でのスモールスタート
アサイン明細と契約満了アラートだけを先に載せます。請求・勤怠まで同時に載せると入力が止まります。
- STEP 4
1〜2ヶ月の二重運用と締め日での照合
月末の稼働率と請求金額がExcelと一致するかを、最低1回は突き合わせます。
- STEP 5
旧Excelの参照専用化
編集を止めて読み取り専用にします。書き込み先が2つ残ると元の運用に戻ります。
二重運用は期間を決めてから始めます。期限を切らないと、Excel側が現役のまま残ります。
補助金・データ移行のよくある質問
費用とデータの扱いで繰り返し出る質問をまとめます。
❓よくある質問
Q.移行費用に補助金は使えますか
デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)に、通常枠のほかインボイス枠やセキュリティ対策推進枠があります。補助率と上限額は枠ごとに違うため、中小企業庁の公募情報と製品側の対応可否を確認します。
Q.既存Excelのデータはどうしますか
1行1アサインへの正規化と、日付・ステータスの表記統一を先に済ませます。取り込み形式は製品ごとに違うため、商談時にCSVの雛形をもらって確認します。
Q.SES管理システムとタレントマネジメントシステムは何が違いますか
SES管理システムは契約・精算・請求までを対象にします。タレントマネジメントはスキルや評価の蓄積が主役で、月末の突合は解決しません。
まとめ|Excel脱却は人数でなく精算の二重管理で決める
要員管理のExcel脱却は、エンジニアの人数だけでは判断できません。案件数・商流階層・精算パターン・シートを触る人数を合わせて見ます。
まずアサイン表と精算ルールが別ファイルになっているかを確認します。分かれているなら、シートの正規化から着手します。
本記事の料金は2026年8月時点で各社公式サイトに掲載されていた内容です(税表記は公式の記載に合わせています)。最新の料金・契約条件は各製品の公式ページ、補助金はデジタル化・AI導入補助金の事務局サイトで確認してください。
AppTime株式会社 代表取締役:システム開発・DX支援|2018年〜現在
HOJOJO株式会社 取締役CTO:技術戦略・プロダクト開発|2024年〜2025年
関西学院大学大学院(MBA課程)にて、経営管理の高度な知見を統合。
〜主な経歴〜
2017年に個人事業主として独立。エンジニアとして数多くのシステム開発を
手掛けた後、2018年にAppTime株式会社を設立し、代表取締役に就任。
現在は自社の経営のみならず、2024年〜2025年にはHOJOJO株式会社の取締役CTO(最高技術責任者)も兼任。技術の「便利さ」だけでなく、LLM・機械学習をはじめとする先端技術を活かし、企業のコストカットや「利益創出」に直結させるという、実益重視のコンサルティングを展開している。
単なるIT導入に留まらない、経営層・役員の意思決定に資する「経営×IT」の架け橋として、次世代のDXリテラシー向上を支援している。

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